
ドイツの職業学校における宝飾職人育成システム
「もの作り王国・ドイツ」の根幹ともいえる職業教育制度ですが、職業教育を希望する者は、連邦政府が選定したおおよそ350の職種から自ら職業教育を実施している事業所を見つけて、技術的・実践的実習を行いながら職業学校に通います。
職業学校は職業分野によって分類されています。各州によって若干の違いはありますが、製造・建設・商業・農業・家政等があり、これらの混合により分類され運営されています。
また、「デュアルシステム」に関係なく、特定の職種を希望する者が知識を深めるための職業専門学校もいくつかあります。
その中でも、貴金属宝飾の専門学校は数多く設置されています。貴金属宝飾の職人を国家予算で育成しているということは、文化的、経済的な面から見ても大変に大きな影響力を持つ職業なのでしょう。

クリスチャンバウアーでのマイスター職業教育
さて、教育実習生を受け入れることのできる事業所にも条件があり、どの事業所でも実習生を教育できる訳ではありません。
職業教育法によって定められた人格、専門知識、設備等に関する規定を満たしている事業所のみが受け入れることができるのです。また、事業所内で実際に職業教育をできるのは、公的な資格を持つ職業教育指導者のみと定められています。
クリスチャンバウアーシュムック社ではこれらの実習生を受け入れており、同社に勤務しているゴールドシュミーデ・マイスター(貴金属宝飾専門の高度な技術を有した職人)が 実習生の育成を担当しています。
各事業所が職業教育のために実習生を雇用する理由はいくつかありますが、中でも特筆すべきは、歴史的伝統をしっかりと守り後進に受け渡すという強い信念があることです。
マイスターにとって「後進を育てていくことは、自らの責任である」という認識は、多くの企業で共有されており、事業所の社会的責任としてこれらを果たしているということでしょう。
次回はマイスター制度について説明します。